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コラム Column
日米の年金と国籍
08/01/24
日本の年金の振込手数料
日本の年金受給者の方が、年金の振込先に米国の銀行口座を指定した場合、振込まれる都度、銀行でハンドリングチャージ(Handling Charge受取手数料)として20ドル前後を天引きされます。
日本の年金は偶数月に年6回振り込まれますので、年間20ドル×6回=120ドルの出費となります。
更に65歳以降は老齢厚生年金と老齢基礎年金の2本立てとなり別個に振り込まれますので120ドルの出費は倍の240ドルとなります。ご夫妻で受給しているご家庭は480ドルの負担となってしまいます。また、日本の銀行とアメリカの銀行で直接送金できない場合(コルレス関係がない場合)、中継銀行を通すことになるのでさらに中継銀行手数料がかかることになります。
ハンドリングチャージの問題は米国にお住まいの年金受給者に留まらず、海外での日本の年金受給者共通の問題です。
年金は終生支払われ、更に遺族の方に引き継がれるものです。
以下、この対策を考えてみました。
1. 日本の口座に振り込む
日本の年金を日本の銀行口座に振り込むことによりハンドリングチャージを避け、年金額の目減を回避することが可能です。
また日本に一時帰国するときの滞在費などに充てたい、円安対策等の事情から日本の年金を日本の銀行口座で受け取りたいと希望される方もいらっしゃいます。
なお海外在住の方は日本の年金の振り込み先をゆうちょ銀行(郵便局)の口座にすることは規定上出来ませんのでご注意下さい。。
一方、日本に口座をお持ちで無い場合、日本に居住していない人が、新たに日本で開設できる銀行口座があります。「非居住者円預金」です。日本国籍の方だけでなく、米国籍の方も、日本の年金を振り込むための銀行口座を開設することができます。非居住者円預金はどこの銀行・支店でも取り扱っているわけではありません。
昨今は、マネーロンダリングを規制する関係から、一般に非居住者円預金口座の開設は厳しくなってきています。
口座開設のため日本に行かれる前に、ご自身なりお知り合いを通じてご希望の銀行・支店が取り扱っているかどうか、必要な書類は何かなど銀行に確認してから手続きに出向くようにしてください。
尚、米国在住の方でも日本に銀行口座を残している方は、もちろん年金の振込先をその口座に指定することができますので、引き続き口座を保持することをお勧めします。
銀行によっては海外に転出する際に非居住者預金に切り替えておけば海外の住所に各種の連絡が送られる所もありますし、また逆に海外に転出する際には日本の口座を解約しなければならないところもあります。
2. 米国内でハンドリングチャージを取られない銀行口座に振り込む
(1)Credit Unionは地域により徴収していません。例えばBeth Page Federal Credit Union (NY マンハッタン)やNavy Federal Credit Unionです。
(2)カリフォルニア州のUS Bancorpは従前のUnion Bank時代から徴収していませんでした。
(3)銀行にとっての取引優良客(例えば一定額以上のCDを購入しているとか)の場合、各種手数料が免除されていますのでお調べください。
3. 海外送金の1本化(制度変更の要請中)
銀行でハンドリングチャージを課すのは已むを得ないのですが、問題は日本から送金する場合、老齢厚生年金と老齢基礎年金を個別ではなく日本国内送金と同様に纏めて振り込めないかということです。これにより費用負担を半分にすることが出来ます。
わずかな金額と言えども通算では大変な額になりますし、そもそも海外の年金受給者の年金額は日本にお住まいの方と比べれば小額の方が大半ですからその負担額は決して小さなものではありません。改善を求める受給者からの声も従前から伺ってます。
以上の状況を踏まえ是非とも早期の改善を実現すべく、2023年2月17日厚生労働省年金局を訪問し1本化の申し入れを行ないました。その際、“日本国内が1本で送金されているのだから、海外も1本で送金されるのが現実的。2本立て送金には問題がある”との力強い発言がありましたので、いずれ予算が確保されシステムの改善が図られるものと期待してます。
改善の進捗状況の確認はしてますが、検討のスピードを速めて頂き海外での日本の年金受給者の方々に吉報を早く届けて頂きたいと願ってます。状況によっては皆さんのお力をお願いすることも想定されますのでその節は宜しくお願い致します。
日々の暮らしで不都合に感じることを一つ一つ改善して少しでも暮らしやすい生活を実現していきましょう。