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コラム Column

日米の年金と国籍

海外年金相談センター 市川俊治

海外年金相談センター 市川俊治

カテゴリー:年金・保険

年金受給者が亡くなられた時の手続き

*日本の年金 
年金の受給期間は受給資格を取得した月の翌月から死亡した月までです。年金の支給時期は偶数月つまり2,4,6,8,10,12月の年6回振り込まれます。支払月に前月、前々月の分が支払われます。

例えば4月振り込まれるのは2月分と3月分が振り込まれます。4月に死亡された場合、4月分まで支給対象となりますから6月になって4月分が振り込まれることになります。

しかし死亡届けが提出されていないと5月分も自動的に振り込まれてしまいます。そうなった場合は5月分を返却する必要が生じ面倒な手続きが発生してしまいます。ですからこの場合、5月分は振り込まれないように死亡届を早く提出する必要があります。

死亡届が提出されないと最大1年間分の過払いが生じ、その分を日本年金機構に返却する義務が発生します。最大1年となる理由は、毎年「現況届」が誕生月に提出されないと年金の支払いが自動的にストップするからです。
では年金受給中の方が死亡した場合、周りの方はどう対応すればよいのかをご説明いたします。

(1) 年金支給を止める為の手続き
年金の支給を止めるために「年金受給権者死亡届」(様式第515号)を年金事務所に郵送するか日本在住の方に届けてもらいます。「年金受給権者死亡届」は日本年金機構のHPで検索すれば簡単に取得できます。

届出の項目は死亡した年金受給者の①基礎年金番号、年金コード②生年月日③名前④住所⑤死亡年月日です。死亡届の添付書類として死亡診断書(Death certificate)の提出が必要です。

その際、主要な項目の翻訳を行い、翻訳者の氏名も記載してください。主要な項目とは死亡者の①氏名、性別、生年月日②死亡の日時③死亡の場所④死亡原因です。

予め「年金受給権者死亡届」に①から④までを記載しおき、あとは死亡日だけを記入すれば良い状態で備えておくのも良いと思います。死亡届を提出する先の年金事務所は基本何処でも良いです。

年金事務所の住所等の案内は日本年金機構のHPで検索できます。なお日本年金機構のHPにマイナンバーを登録されている方は、原則として「年金受給権者死亡届」の提出を省略できますと説明されています。

これは前提として住民票を日本の市町村役場に提出されている方の死亡届が管轄の市町村役場に提出されれば、死亡の情報が自動的に日本年金機構にも共有されるので「年金受給権者死亡届」の提出の必要は無いということです。マイナンバーを日本年金機構に登録されている方でかつ住民票が日本にある方の場合に限られますのでご注意ください。

(2)未支給がある場合
年金を受給されている方が亡くなったときに、まだ受け取っていない年金や、亡くなった日より後に振込まれた年金のうち、亡くなった月分までの年金については、未支給年金として死亡された方と生計を維持されていた遺族が受け取ることができます。

例えば上記の例で4月に亡くなられると4月分まで年金の支給対象となりますが、死亡届の提出により4月分の受取人が不明のままとなってしまいます。そこで未支給分の請求権利者が未支給請求を行ないます。請求の権利が出来る方は、死亡した受給権者と生計を同じくしていた配偶者、子、父母、孫、兄弟姉妹、その他3親等の順になります。

又、生計を維持するとは①原則、同居していたこと②受給対象者の前年の収入が850万円未満であることです。

未支給の請求は未支給年金・未支払給付請求書(様式第514号)で行います。
添付書類として①年金証書・年金手帳②生計同一の申立書他です。年金受給権者死亡届(様式515号)が複写となった書類です。日本年金機構のHPで検索すれば未支給年金・未支払給付請求書および年金受給権者死亡届(報告書)についてその説明と用紙が取得できます。

(3) 遺族年金
遺族年金は、国民年金または厚生年金保険の被保険者(現在保険料を払っている方)または被保険者であった方(過去に保険料を払っていた方、年金受給者)が、亡くなったときに、その方によって生計を維持されていた遺族が受けることができる年金です。遺族年金の受給権のある場合は別途手続きが必要となりますが詳細は別途ご説明します。

 

*米国の年金(日本在住の方の場合)
米国年金の受給期間は、受給者の死亡月の前月分までです。日本の年金は死亡月まで受給できますがこの点は異なりますのでご注意ください。

米国年金は日本国内では翌月払いですので例えば4月に振り込まれるのは3月分です。ですから4月に亡くなられた場合は4月振込分まで受け取れることになります。死亡連絡のタイミングによって過払い分が発生することになりますが、その際には年金課から過払い分の返金方法について案内があります。

(1) 年金支給を止める為の手続き 
年金支給を止めるために以下の情報を適宜用紙に記載して米国大使館年金課に郵送します。更に亡くなられた方の除籍謄本を1通同封されてください。

届出の項目は死亡した年金受給者の①氏名②Social Security番号(不明な場合は生年月日)③生年月日④死亡日⑤死亡した場所(都道府県名)さらに連絡される方の⑤氏名⑥連絡先⑦受給者との関係です。郵送先は〒107-8420 東京都港区赤坂1丁目10-5米国大使館領事部年金課です。

(2)配偶者・家族年金・死亡一時金について

要件を満たせば死亡者の配偶者(9か月間以上故人と結婚している)、子供だけではなく親にも遺族年金が支給されます。また葬式費用として$255の死亡一時金が死亡者の家族に支払われます。死亡時から2年以内に申請する必要があります。

遺族が米国年金を受給している場合、上記の年金支給を止める手続きをすれば自動的に配偶者・家族年金から遺族年金への切り替えと死亡一時金支払いの手続きが年金課で行われます。

遺族が米国年金を受給していない場合は米国大使館年金課までお問い合わせください (電話03-3224-5000)。