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コラム Column

日米の年金と国籍

海外年金相談センター 市川俊治

海外年金相談センター 市川俊治

カテゴリー:年金・保険

年金の振込先を日本にしたい

日本の年金を米国の銀行に振り込むことにより銀行手数料を天引きされ、年金が目減りすることや、日本に一時帰国するときの滞在費などに充てたい等の事情から日本の年金を日本の銀行口座で受け取りたいとご希望される方がいらっしゃいます。

事実、日本の年金受給者の方が、年金振込先を米国所在の銀行とした場合、振り込みがある都度、銀行はハンドリングチャージとして一定の金額(15ドル前後)を徴収しています。しかも65歳からは「老齢厚生年金」と「老齢基礎年金」が同時に別個に振り込まれるため1回につき15ドル×2=30ドル、年6回振り込みのため180ドルの年金額が減額されます。年金額が多くない方には無視できない金額です。そこで、日本の銀行口座への振込みの可能性についてお話しいたします。

日本に居住していない人が、新たに日本で開設する銀行口座は「非居住者円預金」です。日本国籍の方だけでなく、米国籍の方も、日本の年金を振り込むための銀行口座を開設することができます。郵便局及び一部の銀行は取り扱っていません。

1.日本で銀行口座を開設する際の一般的注意事項
 (1)手続きには本人が銀行に出向く必要があります。
 (2)非居住者円預金はどこの銀行・支店でも取り扱っているわけではありません。ご希望の銀行・支店が取り扱っているかを必ず確認してください。
 (3)口座開設をした取引店でのみの取引となります。キャッシュカードは発行されません。したがって、一時帰国の際に良く利用する滞在先に近い銀行で開設するのが便利かと思います。
 (4)口座開設の目的をはっきりさせることが必要です。「日本の年金を受け取るため」とか「国民年金の保険料を納付するため」といったことです。
(5)日本国内の通信物の送付先として、連絡先を届けておくことを求められルことがあります。ただし、特別なことがなければ、通信物を送られてくることはありません。
2.必要な書類等(銀行により異なります)
 (1)本人確認書類:パスポート (2)外国住所確認書類:外国運転免許証、在留証明等のいずれか1点(3)口座開設目的確認書類:年金証書、年金手帳等(年金受給目的の場合)保険料納付書等(国民年金の保険料納付目的の場合)(4)印鑑:サインのみでは口座開設はできません。

みとめ印及び実印どちらでも結構です。とは言え、マネーロンダリングを規制する関係から、一般に非居住者円預金口座の開設は厳しくなってきています。
口座開設のため日本に行かれる前に、ご自身なりお知り合いを通じてご希望の銀行・支店が取り扱っているかどうか、必要な書類は何かなど銀行に確認してから手続きに出向くようにしてください。尚、米国在住の方でも日本に銀行口座を残している方は、もちろん年金の振込先をその口座に指定することができますので、引き続き口座を保持することをお勧めします。

尚、カリフォルニア州のUnion Bankは日本の年金振込に際して送金手数料(ハンドリングチャージを含めて)を徴収していません。その理由を日本年金機構に問い合わせたところ、年金を日本から外国の金融機関に送金するための手数料については、外国の金融機関が送金元銀行(日本銀行が送金を依頼している日本
の銀行)を経由して日本銀行に請求することが可能であるということです。
しかしながら外国の金融機関によっては、この送金手数料を日本銀行に請求せず、顧客から徴収する傾向があるようだとのことでした。外国の銀行が送金元銀行に請求手続きをするのが面倒なためしていないのか、そのことを知らないためしていないのかわかりませんが、私の知る限り日本の年金の送金手数料を顧客から徴収していないのは米国ではUnion Bankが初めてです。